キッチンの高さは何センチが最適?標準的な高さと身長で割り出す計算式
投稿日:2023年3月31日 | 最終更新日:2023年3月31日
新築やリフォームの際に誰しも一度は考える「キッチンの高さ」。
一般的に日本のキッチンは高さ80〜90cmが標準と言われています。2.5〜5cm刻みで高さを選択できる場合が多く、家族の中で一番長くキッチンに立つ人の身長に合わせて選ぶのがいいとされています。
高さの合わないキッチンは肩や腰に負担がかかりますし、調理の作業効率が悪くなる恐れもあるでしょう。
せっかくの新築・リフォームで後悔しないよう、本記事ではキッチンの高さ選びのコツを紹介します。
キッチンの高さは何センチが平均?標準的な高さは?
日本のキッチンの高さは80cm・85cm・90cmが標準と言われています。
キッチンの高さは使う人の身長や肘高に合わせて選ぶのがセオリーとされ、日本人の体型に合うのはこの3サイズである場合が多いです。
よって平均的な高さは80〜90cmとなるのですが、キッチンの高さを決めるにあたってもっとも大切にしたいのはご自身の使用感です。
標準と言っても体型は人によって異なります。またスリッパやキッチンマットを使用すれば若干の誤差が生じますし、ガスコンロの場合は五徳の高さが出ます。
ここでいう高さの標準はあくまで目安です。実際に立ってみると「思ったより高い」「低くて使いにくい」といった感覚に気づくこともあります。
キッチンの高さで後悔しないためには、ショールームに足を運んで使用感を確認するのがいいでしょう。
◆キッチンの高さ=ワークトップの高さ◆ 一般的に言うキッチンの高さとは、調理作業をするワークトップ(天板)の高さを意味します。 日本工業規格(JIS)ではキッチンの高さを80cm・85cm・90cm・95cmと規定しています 少し前のシステムキッチンは高さ80cmが主流でした。しかし日本人の平均身長が伸びてきたことにより、近年は85cmや90cmを選択する方が増えています。 なお、オーダーメイドキッチンであれば1mm刻みで高さ調節できるものもあります。メーカーによっては奥行きも変更できるため、こだわりをしっかりと形にしたい方におすすめです。 参考:キッチン設備の寸法|JIS |
キッチンの高さを決める計算式は2つある
キッチンの高さを決めるにあたって、基準となるのが身長と肘高です。
身長と肘高から理想の高さを割り出す計算式は2通りあります。
- 身長÷2+5cm
- 肘を90度に曲げた状態-15cm
ここからはそれぞれの計算式を詳しく解説します。
計算式①身長÷2+5cm
キッチンの高さを決める計算式でよく知られているのが「身長÷2+5cm」です。
身長155cmの方を例にあげて計算すると、155cm÷2+5cm=80cmが理想的な高さとなります。同じように計算すると身長160cmでは85cm、身長165cmだと90cmが目安です。
では身長157cmはどうなるかというと、計算式では83.5cmが目安となります。メーカーの既製品は5cm刻みでの選択となるため、80cmと85cmどちらにするか迷うところです。
この場合ショールームで実際に立ってみるといいのですが、それでも迷う時は次の肘高から割り出す計算式も参考にしてください。
計算式②肘を90度に曲げた状態-15cm
キッチンの高さを決めるもう一つの基準が肘高です。
キッチンに立ち、肘を90度に曲げた状態でワークトップから10〜15cm引いた高さが使い勝手がいいと言われています。
同じ身長でも腕の長さは人によって異なるため、近年は肘高も基準にしようとの考えが広がりつつあります。(海外では肘高でキッチンの高さを決めるのが一般的です)
ショールームに足を運ぶ際は、身長と肘高両方を意識しながらキッチンの高さを体感してみるのがいいでしょう。
キッチンの高さが合わない!3つの後悔ポイント
低すぎる、あるいは高すぎるキッチンには以下3つのデメリットがあります。
- 肩や腰に負担がかかる
- シンクが低く洗い物がしにくい
- コンロが高く鍋を持ち上げられない
ここからはお客様から実際に相談があった後悔ポイントを解説します。
後悔ポイント①肩や腰に負担がかかる
高さの合わないキッチンは肩や腰に大きな負担をかけます。
システムキッチンメーカーのクリナップが子育て世代を対象に行った調査によると、平日夜のキッチン滞在時間でもっとも多かった回答が「30分〜1時間」でした。(全体の39%)
同調査では休日夜の滞在時間についても調査していますが、こちらも30分〜1時間と回答した方がもっとも多い結果となりました(全体の34%)
これに朝と昼も加えると、1日あたり1時間以上キッチンに滞在する計算です。高さの合わないキッチンで毎日作業するとなれば、身体にかかる負担は相当な大きさとなるでしょう。
参考:キッチン白書®2021 キッチン空間の役割探索調査 30〜40代子育て世代編|クリナップ
後悔ポイント②シンクが低く洗い物がしにくい
キッチンの高さとはすなわちワークトップの高さですが、シンクはワークトップよりもさらに低くなります。
低いシンクでの作業は姿勢が前屈みになり、腰への負担も大きいです。洗い物の量が増えればキッチンに立つのがつらくなり、腰痛が慢性化する恐れもあるでしょう。
腰をかばおうと屈まずに洗い物をすると水がはねやすく、シンク周辺や衣服が濡れやすいデメリットもあります。
後悔ポイント③コンロが高く鍋を持ち上げられない
キッチンの高さを決める際に、忘れてはならないのが五徳の存在です。
IHクッキングヒーターであればあまり気になりませんが、ガスコンロの場合五徳の高さが加わります。一般家庭用のガスコンロは五徳の高さが4cmほどあるため、作業スペースとは高さの感覚が異なります。
コンロが高いことによるデメリットは、鍋を持ち上げての調理が難しくなる点です。普段からフライパンを振って調理する方は、高さがあることで鍋を振りにくいと感じることがあるかもしれません。
キッチンの高さは調整できる!3つの方法
キッチンの高さを調節する方法として、キッチンを取り替えるといった手段があります。
確かにキッチン自体を取り替えれば理想の高さは実現できますが、当然ながら工事費は高くなります。商品にもよりますが、キッチンのフルリフォームは50〜250万円が相場です。
「取り替えはせず高さだけ変えたい」「費用を安く抑えたい」といった場合、ご提案できる方法は次の3つです。
- リフォームでかさ上げする
- ガスコンロまたはIHクッキングヒーターに変える
- スリッパやキッチンマットを活用する
ここからはそれぞれの方法を詳しく解説します。
方法①リフォームでかさ上げする
低いキッチンの高さを調整するには、キッチンをかさ上げする方法があります。
かさ上げ工事ではキッチンを撤去した後で、造作したかさ上げ台をキッチン下に差し込みます。キッチンを仮解体するため、水栓を外したり仕上げのコーキングなどが必要です。
この方法は最短1日で工事が完了するので、比較的簡単にリフォームを行えるのが魅力です。費用相場は10〜20万円で、キッチンの形状や間取りなどによって異なります。
方法②ガスコンロまたはIHクッキングヒーターに変える
キッチンの高さが合わない場合、ガスコンロまたはIHクッキングヒーターに変更する方法もあります。
IHが低く使いにくい場合はガスコンロに、ガスコンロが高ければIHに変更するといった調整方法なので、加熱調理部のみの限定的な調整になります。
この方法のメリットは、キッチンの取り替えやかさ上げ工事よりも費用を安くおさえられる点です。選ぶコンロやIHの種類にもよりますが、費用は5〜10万円が相場です。
ビルトインコンロやIHの交換は通常1日で完了します。
方法③スリッパやキッチンマットを活用する
もっとも安価で、かつ手軽に高さを調整するならスリッパやキッチンマットの活用がおすすめです。
スリッパのソールは1〜2cm程度なので、軽微の調整には最適なアイテムです。またキッチンマットも0.5〜1cmほどの厚みがあるため、2つを活用すれば最大3cmほどの調整が可能となるでしょう。
1つだけ注意したいのが、履き慣れないスリッパの着用による転倒です。最近は健康グッズやファッションアイテムとしての室内用厚底スリッパが注目されていますが、火を使うキッチンで厚底スリッパを履くのはおすすめできません。
スリッパを活用する場合は履きやすいもの、または転倒の恐れが少ないものを選んでくださいね。
キッチンの高さで失敗を防ぐには?
キッチンの高さで失敗を防ぐには、ショールームで実際の高さを体感することを強くおすすめします。
身長や肘高から割り出す計算式はあくまで目安であり、必ずしも最適な高さであるとは限りません。目安となる高さであっても、実際に立ってみると予想と違ったというのはよくあるお話です。
ショールーム訪問でも決めきれない時は、細かい単位で高さを選べるオーダーメイドキッチンという選択肢もあります。
長く使う場所だからこそ快適な空間にしたいと考えるのは当然ですので、納得のいく方法で理想の高さを追求してください。
キッチンの高さは身長と肘高を目安に|迷った時はショールームを訪問しよう
家づくりやリフォームをするにあたって、キッチンの高さは多くの方が悩むポイントです。
「低すぎるよりは高い方がいい」「高くすると年齢を重ねた時に使いづらいのでは?」調べれば調べるほど決められなくなりますよね。
キッチンの高さで後悔しないためには、身長と肘高から割り出す計算式をもとに実際の高さを体感してみることが大切です。
ショールームは新たな気づきが生まれる場所でもあるので、納得できるまで何度でも足を運んでください。それでも迷った時はプロに相談するのがおすすめです。
株式会社COLOR HOUSEでは、戸建てやマンションの内装やキッチンのデザインを行なっています。メーカーキッチンはもちろん、造作キッチンや輸入キッチンのご相談も承っているので、気になることがあればお気軽にお問合せください。